Ｂ→Ｃシリーズ20周年おめでとうございます! 多くのものが生まれては消えていくこの世の中で、こうして一つのシリーズが長く続いていくことは、ひとえに関係者の方々の並々ならぬご苦労とご尽力の賜物と思います。今後も、若手演奏家の希望と挑戦の場として、更なるご発展を遂げられることを心より祈念しております。
「せっかくの機会、Ｂ→Ｃでしかできないことを! 」と思って私が組んだのが「オール無伴奏」というプログラムでした。初めての、たった一人、たった一声で挑む2時間は、それまでに経験したことのないような、限界への挑戦ともいえる時間でした。 後半、バッハの傑作から立て続けに細川俊夫氏の現代作品を演奏しながら、バッハとコンテンポラリー両作品の持つ独特のエネルギーに圧倒されると同時に、音楽の全ては一つのラインでつながっている、ということを実感することができました。
地元高松と東京での2公演とも、一曲目から集中を切らすことなく演奏を終えることができたのも、Ｂ→Ｃのコンサートの雰囲気を大切にされるお客様、そして常に細やかな対応をしてくださったスタッフの方々のおかげです。Ｂ→Ｃの挑戦を通して学んだことはとても多く、自分自身で「一つの大きな階段を上った」と実感できる、大変貴重な機会でありました。この挑戦の記憶は、私の大切な宝物です。