[163]
大野雄太(ホルン)

2014年6月24日 出演

163_大野雄太(ホルン)

開館20周年おめでとうございます。東京オペラシティ コンサートホールは僕にとって演奏家としての憧れの地であり続けてきました。日本音楽コンクール本選、『題名のない音楽会』は、大学卒業まで山形で過ごした僕にとって、テレビの中の遠い夢の世界でした。まさか、僕がそこに奏者として立つとは。そんな田舎者の僕を素晴らしい音響で背中を押してくれた貴ホールがこれからも音楽シーンの名場面を作り、若い奏者を励ましてくれると確信しています。
実は、山形時代に佐々木良純氏に作曲を依頼し、できた曲をかねてから都内でも発表したかったのですが、B→Cはまたとないチャンスでした。これがきっかけかは知りませんが、アメリカでも出版され、徐々に広まって欲しい一曲です。一個人としても実に幸せでした。家族にも応援してもらいました。当時、僕の娘はまだハイハイもできない頃でした。実は、ピアニストも同じくらいのお子さんをお連れで、楽屋はさながら託児室。娘は泣くことなく、パタパタと手足を動かしていました。これと全く同じプログラムを娘が大きくなった時に聴かせられるのか、その体力を僕は維持できるのか、なんてことにこだわる奏者がいても良いかもしれません。

[近況](2017年3月現在)
おかげさまで、東京交響楽団の奏者として東京オペラシティ コンサートホール、また、お隣の新国立劇場で演奏する機会を今でも多くいただいています。両親も定年をむかえて時間が取れるようになり、東京オペラシティでのコンサートを聴いてもらい、ついでにレストランでビールを飲む、というのも親孝行と言えるかはわかりませんが、僕にとって幸せな時間です。そういえば、先日、地方出身の生徒と東京オペラシティの中を歩きました。「ここが日本音楽コンクールの本選会場の東京オペラシティだよ」と声をかけると、生徒は目を見開いて、憧れと共に、いつかは自分も、という決意の表情を見せてくれました。