2005.01.15[土] - 03.21[月]
戦後の写真表現に革新をもたらした森山大道と、「天才アラーキー」こと荒木経惟。 ともに現代日本を代表する写真家であり、長年にわたって「新宿」という街と関わってきた2人です。
「新宿を撮るのではなく、新宿で撮る。」というように、わざわざ来るのではなく、自然に戻ってきてしまう巣のような街。森山にとっては「新宿は、写真家であることのリトマス試験紙」であり、荒木は「新宿とは、ちゃんと撮ってはいけない街」であるといいます。
1960年代から現在にいたるまで、新宿は2人にとってのテリトリーであり、必然的に、最も多く写真を撮り続けている街となっています。60〜70年代のアングラ文化隆盛の時代、70〜80年代に至る副都心として急速に開発が進む時代、また世紀末から21世紀に入り、東京の中心からアジアのカオスへと変貌し続ける現在。2人はそれぞれに、新宿が変容を遂げた時代を目の当たりにしそこに居合わせてきました。
2004年8月のある一日、2人は撮り下ろしを行いました。それぞれに盛夏の新宿・歌舞伎町界隈を歩き、シャッターを切ったのです。森山はモノクロ作品、荒木はカラー作品ですが、同じ日に、新宿で撮影された作品からは、40年間エネルギッシュに制作活動を続けてきた2人の写真界の革命児の息づかいが聞こえてくるようです。
本展は、この2人が「二人展」という形式で顔を合わせる初の展覧会です。
900点以上にのぼる展示作品は、2人が60年代に撮影した作品から、撮り下ろし最新作までを含み、その半数以上が未発表のものです。圧倒的なボリュームをもって、東京オペラシティアートギャラリーの展示空間を埋め尽くし、カラーとモノクロが交錯する世界を作り出します。
全く異なる個性を持つ2人の写真家が、その長い写真人生の中で、新宿を介在して、ほんの一瞬交わります。果たして新宿はこの両者を繋ぐものと成り得るでしょうか。新宿という街を捉えた両者の目を追うことによって、新宿という街の真相があらわになり、更には森山大道、荒木経惟の写真の深層が浮かび上がる・・・・「森山・新宿・荒木」というタイトルには、そんな意味が込められています。
1938(昭和13)年大阪生まれ。写真家・岩宮武二および細江英公のアシスタントを経て、1964年に独立。68年、写真集『にっぽん劇場写真帖』を発表。72年、写真集『写真よさようなら』を発表、「ブレ・ボケ・アレ」と称される革新的な表現によって、写真界に大きな衝撃を与えた。その後一時撮影から遠ざかるが、82年『光と影』によって完全復帰を果たす。83年、日本写真家協会年度賞を受賞。90年代以降も精力的な活動を続け、99年にはサンフランシスコ近代美術館で大規模な個展が開催され、欧米を巡回。2002年写真集『新宿』を発表し、翌年第44回毎日芸術賞を受賞。03年、島根県立美術館ほかで国内初の大規模な個展が開催される。
同年、『森山大道全作品集』(大和ラヂヱーター製作所・全4巻)刊行。東京都在住。
moriyama daido
https://www.moriyamadaido.com/
1940(昭和15)年東京・三ノ輪生まれ。千葉大学工学部卒業後、カメラマンとして電通に入社。1964年に「さっちん」で第1回太陽賞受賞。71年青木陽子と結婚、写真集『センチメンタルな旅』を自費出版。72年に電通を退社、以後「天才アラーキー」の名でセンセーショナルなブームを巻き起こす。90年、日本写真家協会年度賞受賞。91年、前年死去した妻・陽子を撮影した写真集『センチメンタルな旅・冬の旅』を発表。国内においては東京都現代美術館「荒木経惟 センチメンタルな写真、人生」(99年)、また、ヨーロッパ各地で個展を開催し、海外での評価も高い。『荒木経惟写真全集』(平凡社・全20巻)、『ARAKI by ARAKI 』(講談社インターナショナル)ほか、著書多数。東京都在住。
ARAKI NOBUYOSHI
http://www.arakinobuyoshi.com/
森山大道、荒木経惟のお二人に、被写体としての「新宿」について熱く語り合っていただきます。
【チケットは予定枚数終了いたしました。】