梅佳代展 UMEKAYO 2013年4月13日[土]─ 6月23日[日]東京オペラシティ アートギャラリー

Kayo Ume : UMEKAYO TOKYO OPERA CITY ART GALLERY SATURDAY, 13 APRIL ー SUNDAY, 23 JUNE, 2013

展覧会について

梅佳代の作品は、ストリートスナップから、家族や身近な隣人たちをとらえたポートレイトまで、多岐に渡ります。
本展では、日々生み出されるそれら夥しい数のショットから、未発表を含む作品約570点を厳選し、6つのセクションによって紹介します。

1:シャッターチャンス Part 1

梅佳代は、ストリートスナップをその活動の重要な柱としています。構図やプリントでの調整など「作品」としての完成度にこだわるよりも、むしろ日常のなかで日々生まれている驚くべき瞬間を「報道」のつもりで追っているといいます。その着眼点はきわめてユニークなもので、日常のなかのちょっとしたアクシデントを笑いや驚き、恐れや共感とともに切り取るセンスは他の追随を許しません。またそれらのイメージには、不思議と心の中に残りつづける何かがあるように感じられます。

〈ウメップ〉より 2009年 © KAYO UME

2:女子中学生

専門学校時代に仲良くなった近所の女子中学生たちを学生寮の自室に招いて撮影した初期作品で、約10年振りの公開となります。いまだ青春のさなかにある梅佳代と思春期の少女たちは、性に対する好奇心を共振させながら、アナーキーであっけらかんとしたパフォーマンスでそれを表現しています。「自分も10代だったから撮れた」と本人が言うように、これは写真家の青春の記念碑であると同時に、梅の知られざる原点をさぐる手掛かりでもあります。とりわけ、身近な他者とのコミュニケーションを起点として作品を生み出す梅佳代の方法がすでに見て取れることは興味深い事実です。

〈女子中学生〉より 2000-2001年 © KAYO UME

3:能登

梅は、石川県柳田村(現能登町)で生まれ育ちました。高校時代に写真を撮り始めて以来、また大阪、東京と活動の拠点を移して現在に至るまで、梅佳代はつねに故郷の人々を撮り続けてきました。とりわけ近年は、母校の生徒たちや身近な隣人たち、あるいは日々出会う現地の人々にストレートな視線をむけ、数々の魅力的なポートレイトを生み出しています。それらは、「能登はやさしや土までも」の言葉でも知られるこの土地の人々の気風や風土を、さわやかな光と風にのせるようにして伝えています。このシリーズは、展覧会と同時期に新作写真集としても発表される予定ですが、展示では写真集とはことなるセレクトで、梅の新境地を伝えます。

〈能登〉より 2009年 © KAYO UME

4:じいちゃんさま

梅は、10数年来、自分の祖父と祖母、妹や飼い犬たちを撮り続けてきました。それらは高校時代に、「じいちゃんは撮っとるうちは死なんと思った」のがそもそもの始まりだといいます。そこには、何気ない日常を淡々と、しかし愛情を込めてシャッターを切り続ける梅の姿がありました。もちろん、笑いや驚きを絶妙の間合いで捉える、梅ならではの視点や対象との関係性も鮮明に写りこんでいます。きわめてパーソナルなコミュニケ—ションから発して、だれもが共感する普遍性に達したこのシリーズは、2008年に『じいちゃんさま』として発表され、大きな反響を呼びました。今回はその後現在にいたるまでのショットも加え、あらためて日々の営みと年月の積み重ねを捉えたイメージの連なりとして紹介します。

〈じいちゃんさま〉より 2007年 © KAYO UME

5:男子

大阪の専門学校時代、路上で仲良くなった小学生たちの「バカで無敵な」パワーを活写するシリーズ。梅を「うめかよー」と慕う男子たちは、同時にこちらの思惑など歯牙にもかけない野放図なパフォーマンスを繰り広げます。とはいえ、そこからは仲良くなった梅佳代に見てもらいたい、撮ってもらいたいというひそかな期待と喜びもみずみずしく伝わってきます。ある年代の少年たちだけが示す独特の感情と心の機微が、被写体に共感しつつも絶妙な距離を保つ、梅の冷静なカメラアイによって、鮮やかに捉えられています。それらはまた、梅と被写体との「コラボレーション」によって生まれた奇跡的なイメージともいえるでしょう。

〈男子〉より 2000-2002年 © KAYO UME

6:シャッターチャンス Part 2

展覧会の掉尾では、ふたたび梅の活動の根幹をなすストリートスナップの数々を細心のセレクトで紹介します。梅の作品は「笑い」という観点で語られることが多いですが、本人は笑ってもらうために撮っているのではなく、自分のなかで「はっ」とさせられる瞬間をひたすら追っているだけだといいます。また構図には関心がないとも語っていますが、実は対象に果敢に迫る梅自身の動物的な身体性が、そのフレーミングによってダイレクトに伝わってくる場合も多いようです。そして通常なら被写体にならないような場面とその独特の間合いからは、単なる状況の説明とはことなる、見る者の想像力に働きかける独特の力が感じられます。それらは、日常におけるさまざまな営みに新たな眼を向けるきっかけとなると同時に、写真というものの不思議さと限りない可能性を改めて感じさせてくれることでしょう。

〈ウメップ〉より 2009年 © KAYO UME

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