篠山紀信展 写真力

展覧会について

50年にわたって様々な手法・テーマで撮影された作品を厳選し、「GOD」(鬼籍に入られた人々)、「STAR」(すべての人々に知られる有名人)、「SPECTACLE」(私たちを異次元に連れ出す夢の世界)、「BODY」(裸の肉体、美とエロスと闘い)、「ACCIDENTS」(2011年3月11日、東日本大震災で被災された人々の肖像)の5つのセクションで紹介します。

SPECTACLE:私たちを異次元に連れ出す夢の世界

「写真は嘘」「嘘の嘘は本当」・・・。篠山は、写真を事実や真実の客観的な記録とは考えず、むしろ虚と実のあいだにはからずも生じるリアリティにこそ写真の力があると考えます。そんな篠山にとって、虚構の世界、フィクションの世界を撮ることは、二重三重に興味深い行為です。虚と実の複雑な交錯が、思いもよらない力強いリアリティをもたらすことがあるからです。来場者のいないディズニーランドを自ら「シノラマン」というキャラクターとなって撮ったシリーズ、また撮っているうちに役者と一心同体になるというほどに入れ込んで撮るという歌舞伎のシリーズを中心に紹介します。夢の世界が抗いがたいリアリティを持ち始めるのは、篠山自らがその世界に飛び込み、虚構の世界をさらに「写真」によってフィクションにすることで真実を浮かび上がらせているからだといえるでしょう。


六代目中村勘九郎 2011年


坂東玉三郎『壇浦兜軍記 阿古屋』、阿古屋 2000年1月

ページトップへ
東京オペラシティアートギャラリー