イントロダクション Introduction
ライアン・マッギンレー(1977- )は、2003年に25歳という若さでニューヨークのホイットニー美術館で個展を開催し、以後もポートレイトと風景写真にさまざまな新機軸を打ち出して「アメリカで最も重要な写真家」と高く評価されています。
マッギンレーは、北米の田園風景、野外コンサート会場、あるいはスタジオのなかで、巧妙に光を操りながら場面を設定しつつ、被写体の予期せぬ動きや“ハプニング”を意識的に取り入れて撮影を行います。過去のさまざまなヴィジュアルイメージを参照しながら、微細で洗練された色彩と構図の作品が表現する、自由で過激、そしてときに純粋なユートピアのような世界は、古き良きアメリカのイメージと重なると同時に、仮想と現実が混在する現代という時代をそのまま反映した表現となっているといえるでしょう。
日本の美術館では初個展となる本展では、作家自選による、初期から最新作までの約50点でその全貌を紹介します。
《Taylor (Black & Blue)》
c-print 2012
Courtesy the artist and Tomio Koyama Gallery