展覧会について
Introduction
近年国内外で著しい活躍を見せる千葉正也の個展です。
千葉正也(1980 生)は、現在東京・八王子エリアを拠点に活動し、個展のほか、国内外の数多くのグループ展に参加。また、武蔵野美術大学、多摩美術大学などで後進の指導にあたるなど、時代を担うペインターのホープとして大きな期待と注目を集めています。
美術館では初となる今回の個展では、彼が一躍注目を集めるきっかけとなった《平和な村》(2006年、高橋龍太郎コレクション蔵)をはじめ、国内外の美術館や個人が所蔵する2006年以降の彼の代表作が一堂に会します。また、ユニークなドローイング作品のほか、新作のペインティング、映像作品、大がかりなインスタレーションもあわせて展示します。
展示全体が千葉正也ワールドともいえるような展覧会会場のなかで、斬新でスリリングな絵画体験をお楽しみいただけることでしょう。
◎多彩な方法を軽やかに駆使し、斬新でスリリングな創作活動を展開
千葉の絵画は、紙粘土や木片で人型のオブジェを制作し、寄せ集めた身の回りの品々とともに周到に配置した仮設の風景を作ることからスタートします。これを、木、金属、プラスチックなどの質感を精巧に描き分ける卓抜なテクニックを駆使して絵画化し、自作の簡素な木製スタンドに展示します。こうして、絵画と彫刻、二次元と三次元の世界の境界を曖昧化させるのです。また、自身の顔を、舞台女優やテコンドーの選手などの顔に直接描く《自画像》シリーズなど、絵画だけにとどまらず、写真、映像、インスタレーション、サウンドアート、パフォーマンス、資料展示などさまざまな方法を軽やかに駆使し、斬新でスリリングな創作活動を展開しつづけています。
◎絵画を通してエキサイティングな鑑賞体験をもたらす試み
千葉正也の作品は、古今東西の絵画表現のさまざまな達成や成果を誠実に継承しつつ、現代アートの枠組みに対して、絵画という長い歴史をもつメディアを通じて揺さぶり動かそうとするものです。この大胆不敵なアプローチはじつにユニークで、エキサイティングな鑑賞体験をもたらしてくれることでしょう。