展覧会の見どころ 展示作品
Exhibition
国内の美術館では約6年ぶりの写真家・川内倫子の個展となる本展は、写真、映像など、さまざまな手法による作品を通して、川内の創作の本質や問題意識の核に迫る内容です。
空間設計を建築家の中山英之が手がけ、鑑賞者が会場で作品に向き合う体験を身体感覚として経験できるよう、川内とのディスカッションを重ね、インスタレーションとして展示が組み立てられています。
展覧会タイトルにもなっている新作シリーズ〈M/E〉を中心に据え、未発表作品や過去に発表したシリーズを織り交ぜながら、この10年の川内の活動に焦点をあてます。
〈4%〉
ロサンゼルスのアーティストインレジデンスThe Lapis Pressでのコミッションとして、2011年にサンフランシスコ、2012年にロサンゼルスにそれぞれ滞在して制作された。球体や水平線など、宇宙をイメージさせる被写体が多く登場する、日本では初公開となるシリーズ。
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(シリーズ〈4%〉より)
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(シリーズ〈4%〉より)
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(シリーズ〈4%〉より)
〈An interlinking〉
川内の写真を象徴する6×6の正方形フォーマットで撮られた作品。日常にあるイメージや小さな命の姿を、ローライフレックスの6×6フィルムでとらえる。過去20年以上にわたって撮影されたアーカイブから、今回の展示のために構成した未発表を含む作品群を紹介。
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(シリーズ〈An interlinking〉より)
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(シリーズ〈An interlinking〉より)
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(シリーズ〈An interlinking〉より)
〈Illuminance〉(映像作品)
2011年に発行された写真集『Illuminance』の映像作品として発表され、展示される度に新しく映像を追加していくことをコンセプトとした作品。当初10分程度だった再生時間は増え続け、川内の活動の軌跡であると同時に、永遠に未完であり続ける作品でもある。
〈光と影〉
2011年4月、友人の写真家の案内兼通訳として訪れた石巻、女川、気仙沼、陸前高田で白と黒のつがいの鳩と出会ったことで生まれた作品。生と死、相反するものが同時に存在する世界を象徴するかのような2羽の鳩の姿を写した。本展ではスライドショーで展示予定。
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(シリーズ〈光と影〉より)
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(シリーズ〈光と影〉より)
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(シリーズ〈光と影〉より)
〈あめつち〉
熊本県阿蘇で古くから行われてきた野焼きを、4×5のフィルムカメラを用いて撮影したシリーズ。野焼きに加え、イスラエルの嘆きの壁など、自然への畏怖と人間の祈りや「捧げる」という行為に焦点を当てた作品が含まれる。
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(シリーズ〈あめつち〉より)
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(シリーズ〈あめつち〉より)
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(シリーズ〈あめつち〉より)
〈M/E〉
2019年より川内が取り組んできた新作シリーズ。アイスランドの氷河や冬の北海道の雪景色と、コロナ禍に自宅周辺で撮影した家族や生き物の姿などの身近な風景など、ミクロとマクロの視点から自然の姿を写しとった。本展の中心に据えられたシリーズであり、空間全体を使った構成で展示する。
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(シリーズ〈M/E〉より)
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(シリーズ〈M/E〉より)
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(シリーズ〈M/E〉より)
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(シリーズ〈M/E〉より)