人物像 ノミの跡がはっきりと見えるほど荒く削られ、彩色された木の彫像。台座とともに一本の木から彫り出されるバルケンホールの人物像は、凝ったポーズも大きな動作もなく、無言でたたずんでいます。特定の人物や現実のモデルの描写ではない、黒いズボンに白いシャツという普通の格好をした、どこにでもいそうな人物像。バルケンホールはかつてそれを、「誰でもなく、誰でもありうる」という意味で「Mr. Everyman（ミスター・エヴリマン）」と呼びました。 パブリック・アートや野外プロジェクトの際には、「Mr. Everyman」が街中の商店の壁に平然とたたずんでいたりします。1992年、ロンドンのテムズ川に浮かぶブイに人物像を乗せたプロジェクトでは、緊急事態と見誤った通行人が飛び込む救助騒ぎとなり、新聞記事になったほどです。今回も手のひらサイズから見上げるような巨大な頭部まで、さまざまな「Mr. Everyman」とのご対面をお楽しみください。