伝統にしたがって考えると、アートの価値とは作家の創造力と技量にもとづいた作品そのものの希少性にあったといえます。しかし現在では、作家によって選び取られた日常生活の一片が作品として提示されることも多く、作家が制作にまったくたずさわらない作品さえ見られます。このような作品の性格は、前項で紹介した概念を重視するアート、コンセプチュアル・アートの流れを汲むものといえるでしょう。 情報化社会といわれて久しい現代、私たちのまわりにはあらゆる情報があふれています。また高度に発達した産業によって大量の製品が生産され、またたく間に流通する状況が、アートと私たちの関係にどのような影響をもたらしているのかを考察します。 アーティスト： アー・ユー・ミーニング・カンパニー、ジョン・M・アームレーダー、シルヴィ・フルーリー、ロバート・ロンゴ、マチュー・メルシエ、カースティン・モッシャー、ローマン・ジグネール、アンディ・ウォーホル、ゲオルク・ヴィンター　ほか シルヴィ・フルーリー《オーラ・ソーマ》2002 シルヴィ・フルーリー《無題（自動車雑誌の表紙）》1999 photos: DaimlerChrysler Art Collection