武満徹作曲賞
審査員紹介
- 2003年度審査員 ジョージ・ベンジャミン (イギリス) George Benjamin (United Kingdom)
コンポージアム2003(本選演奏会を含む東京オペラシティの同時代音楽企画)
プロフィール
1960年生まれ。7歳からピアノを、9歳で作曲を始める。1974年よりピーター・ゲルホーンにピアノと作曲を師事。1976年にはパリ・コンセルバトワールに留学し、作曲をオリヴィエ・メシアンに、ピアノをイヴォンヌ・ロリオに師事する。その後、ケンブリッジ・キングス・カレッジにてアレキサンダー・ゲールのもとで学ぶ。
1980年のBBCプロムスで演奏されたオーケストラ曲《平らな地平線に囲まれて》で注目を集め、さらに《冬の心》、ロンドン・シンフォニエッタ委嘱作品《曙光(At first Light)》などで評価を確立した。以後、彼の作品は、世界中のオーケストラ、アンサンブルのレパートリーとなり、ラトル、ブーレーズ、サロネン、ケント・ナガノやナッセンらによって指揮、演奏されている。
フランスでは、メシアンの最も若い秘蔵っ子として評判となり、1992年3月には、「Carte blanche George Benjamin」と題するバスティーユ・オペラの現代音楽フェスティバルに招待されるなど、もはや彼の第二の故郷と言えるほどの名声を得ている。またアメリカでも、1992年サンフランシスコ響のWet linkシリーズ芸術監督、1999年と2000年タングルウッド音楽祭のコンポーザー・イン・レジデンスをつとめ、その作品は広く演奏されている。また、1995年ザルツブルグ音楽祭のオープニングで、アンサンブル・モデルンによる彼の個展が開催された。さらに、1997年9月東京オペラシティ・オープニングシリーズで、今井信子とユーリー・バシュメットにより《ヴィオラ・ヴィオラ》(東京オペラシティ文化財団委嘱)が世界初演され、以来、ヴィオラ・デュオという貴重なレパートリーとしてヒットしている。
ロンドン在住。指揮者、ピアニスト、音楽祭の監督としても活躍。自作、他作を問わず、オーケストラやアンサンブルを世界中で指揮し、1999年3月ブリュッセルのモネ劇場での《ペレアスとメリザンド》からグリゼイ、リーム、リゲティなどの主要作品の初演まで手掛けている。1985~2000年、ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックの作曲科教授をつとめ、現在ロンドン・キングス・カレッジの作曲科教授。また2000年にはバイエルン芸術アカデミーのメンバーに選ばれた。今後の活動としては、ロンドンのバービカンセンターにて2002~2003年のシーズンを通してロンドン交響楽団により、彼の包括的な作品展が予定されている。
メッセージ
ひとりの芸術家として絶大な意味を持つ存在であるとともに、武満徹は、われわれの心にたくさんの愛を吹き込んでくれた人でもありました。冷静さと想像力と感受性と寛容さが不思議に入り混じったその性格で、彼は音楽の世界における驚異的な一種の触媒となっていました。
私は、かねてから、武満の洞察に満ちた創作のひとつでもある、このユニークなコンクールに敬意をもっていましたので、彼の名を冠するプロジェクトに参加することに感激しています。
主な作品
- 【オーケストラ曲】
- 平らな地平線に囲まれて(1980)
- 冬の心 ─ ウォレス・スティーヴンス『スノーマン』による(1981)
- サドン・タイム(1989-1993)
- パリンプセスト I(2000)
- パリンプセスト II(2002)
- 【アンサンブル曲】
- アンターラ(1987)
- 曙光(At first Light)(1982)
- 沈黙に (Upon Silence)(1991)
- 3つのインヴェンション(1993-95)
- 【器楽曲】
- ピアノ・ソナタ(1977-78)
- 飛翔(フルート・ソロ/1979)
- ハイドンの名による瞑想曲(ピアノ・ソロ/1982)
- ヴィオラ、ヴィオラ(ヴィオラ・デュオ/1997)
- 独奏ヴァイオリンのための3つのミニアチュア(2001)
- シャドウラインズ ─ 6つのカノン風前奏曲(ピアノ・ソロ/2001)
主なCD
- 《冬の心》 ジョージ・ベンジャミンの音楽
平らな地平線に囲まれて/冬の心/曙光/パノラマ/アンターラ(全5曲収録) -
ジョージ・ベンジャミン指揮/ロンドン・シンフォニエッタ 他
マーク・エルダー指揮/BBC交響楽団
Nimbus NI 5643
- ジョージ・ベンジャミン作品集
3つのインヴェンション/沈黙に/サドン・タイム/八重奏曲(全4曲収録) -
ジョージ・ベンジャミン指揮/ロンドン・シンフォニエッタ/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 他
◎1998年エディソン現代音楽賞受賞
Nimbus NI 5505
- 《アンターラ》
ベンジャミン:アンターラ ブーレーズ:デリーヴ 他(全4曲収録) -
ジョージ・ベンジャミン指揮/ロンドン・シンフォニエッタ 他
Nimbus NI 5167
- 《サドン・タイム》
サドン・タイム/ヴィオラ・ヴィオラ/3つのインベンション(全3曲収録) -
ジョージ・ベンジャミン指揮/アンサンブル・モデルン
Ensemble Modern Medien EMCD-002
関連リンク
- Faber Music(出版社)
http://www.fabermusic.com/
http://www.fabermusic.com/we-represent/george-benjamin/ - Nimbus Records(CD)
http://www.wyastone.co.uk/
http://www.wyastone.co.uk/nimbus-artists/george-benjamin/
関連情報
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■新作《Olicantus》初演
「オリヴァー・ナッセン50歳バースデイ・コンサート」において、新作《Olicantus》が、ベンジャミン自身の指揮により初演された。
[2002年6月12日 クイーン・エリザベス・ホール]
このコンサートは、ロンドン・シンフォニエッタが、彼らの音楽監督であるオリヴァー・ナッセンの50歳を祝うために開催したもので、カーター、リンドベルイ、アンドリーセン、ゲール、コリン・マシューズ、ターネイジ、ウォリネン、オーガスタ・リード・トーマス、グラナート、アンダーソンが新曲(世界初演)を寄せ、ナッセン、ブーレーズ、ヘンツェらの作品とともに演奏された豪華なコンサート。ベンジャミン作品は、事前に予告されておらず、当日の「サプライズ」として演奏されたとのこと。演奏はロンドン・シンフォニエッタ、指揮はナッセン(自作)とベンジャミン(新作ほか)。 -
■「BY GEORGE! MUSICAL ENCOUNTERS WITH GEORGE BENJAMIN」
2002年10月から2003年7月にかけて、ロンドンのバービンカン・ホールにおいて、ロンドン交響楽団が「BY GEORGE! MUSICAL ENCOUNTERS WITH GEORGE BENJAMIN」と題した演奏会シリーズ(全9回)を主催する。ブーレーズ、ケント・ナガノ、コリン・デイヴィス、ベンジャミン、ジンマン、パッパーノが指揮を行う。
(By George! というタイトルは、『マイ・フェア・レディ』の中のセリフにひっかけてあるとのこと。) -
■新作ピアノソロ曲《シャドウラインズ》が、2003年2月、ピエール=ロラン・エマールにより初演予定。
お問い合わせ
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