武満徹作曲賞
審査員紹介
- 2005年度審査員 ジョン・アダムズ (アメリカ) John Adams (USA)
審査員ジョン・アダムズ氏が来日を取りやめたため中止となりました。
プロフィール
1947年マサチューセッツ州、ウォルチェスター生まれ。1971年ハーヴァード大学卒業後、カリフォルニアに移住し、10年間、サンフランシスコ音楽院で教え、指揮した。その革新的な演奏によりサンフランシスコ交響楽団の現代音楽アドヴァイザーとして迎えられ、1979年から1985年にかけてこのオーケストラのコンポーザー・イン・レジデンスとなる。
初めはミニマリストとして知られた彼だったが、その作風は、円熟してくるにつれてミニマリズムのリズムの力を後期ロマン派の和声や管弦楽的な色彩感の中へ混ぜ合わせるように変化していった。それと同時に、‘ポピュラーでもありシリアスでもある’20世紀の音楽語法との結びつきを強めていった。代表作として知られる2つのオペラ《中国のニクソン》《クリングホファーの死》(いずれも演出:ピーター・セラーズ、台本:アリス・グッドマン、振付:マーク・モリス)と、ストラヴィンスキーやオネゲル、ビッグバンドの影響が濃く、洒落っ気のある折衷主義的なオーケストラ作品の《フィアフル・シンメトリーズ》にその傾向が認められる。
1996年アメリカのオーケストラ連盟の調査で、アダムズは最も頻繁に演奏されるアメリカの存命作曲家として認められた。事実、サンフランシスコ響、ロンドン響、ロス・フィル、ハレ管、アンサンブル・モデルンなど世界中の楽団からの委嘱が絶えず、新作は常に話題となっている。2000年にも、キリスト降誕をテーマにした新作オラトリオ《エル・ニーニョ》がケント・ナガノ指揮によりパリで初演された。また、自ら指揮者として世界各地の優れたオーケストラ、アンサンブルの演奏会への出演やCD録音をしており、アメリカのトップランナーであるのみならず、文字通り世界で最もアクティヴな活動を展開している作曲家である。
主な作品
- 【オペラ】
- 中国のニクソン(1985-87)
- クリングホファーの死(1990-91)
- 【オラトリオ】
- エル・ニーニョ(1999-2000)
- 【声楽とオーケストラ】
- ハーモニウム(1980-81)
- 包帯係(1988)
- ザ・ニクソン・テープ(1987)
- 【テープ/電子音楽】
- 水の上の光(1983)
- 【オーケストラ曲・協奏曲】
- シェイカー・ループス(1983)
- 和声学(ハルモニーレーレ)(1985)
- ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシーン(1986)
- フィアフル・シンメトリーズ(1988)
- エロス・ピアノ(1989)
- エル・ドラド(1991)
- ヴァイオリン協奏曲(1993)
- スロニムスキーのイアーボックス(1996)
- ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック(1997-98)
- Guide to Strange Places(2001)
- 【様々なアンサンブル曲】
- グランド・ピアノラ・ミュージック(1982)
- スクラッチバンド(1996)
- 【室内楽】
- シェイカー・ループス(1978)
- 室内交響曲(1992)
- ロード・ムービー(1995)
- グナーリー・ボタン(1996)
- 【ピアノ曲】
- センチュリー・ロールズ(1996)
- 室内交響曲(1992)
- フリジアン・ゲート(1977)
- チャイナ・ゲート(1977)
主なDVD・CD
- ジョン・アダムズ:クリングホファーの死(映画版)
- DECCA 074 189-9
指揮:ジョン・アダムズ
ロンドン交響楽団
監督:Penny Woolcock
- ジョン・アダムズ:ポートレートと現代アメリカ音楽のコンサート
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ARTHAUS DVD 100323
[ポートレート]
ジョン・アダムズ、演出家ピーター・セラーズ、台本作家アリス・グッドマン、指揮者マイケル・ティルソン・トーマスのインタビューを含むドキュメンタリー
[コンサート]
ライヒ:エイト・ラインズ/アダムズ:こぶだらけのボタン、室内交響曲/ナンカロウ:自動ピアノのための習作 第1番、第7番
ジョナサン・ノット(指揮)アンサンブル・アンテルコンタンポラン、アンドレ・トルテ(クラリネット)
2000年 パリ、シャトレ座でのライヴ収録(コンサート) / 仏・西・英・日本語字幕(ポートレート) / 16:9 / ドルビー・デジタル2.0(ポートレート)、PCMステレオ/ドルビー・デジタル5.0/DTS 5.0(コンサート) / 片面二層ディスク / 134分(ポートレート52分/コンサート82分)
- オラトリオ《エル・ニーニョ》
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ケント・ナガノ指揮/ピーター・セラーズ演出/ドーン・アップショウ/ベルリン・ドイツ交響楽団 他
ARTHAUS DVD 100221
世界初演時のプロダクション/メイキング・オブ・エル・ニーニョ(セラーズ、ナガノ、アップショウ、アダムズのインタヴューを含む)
2000年12月16日 パリ・シャトレ劇場
英語、仏語、西語、日本語 / 16:9 / PCM Stereo, Dolby Digital 5.0, DTS 5.0 / 片面二層ディスク / 147 分(オペラ: 119 分 メイキング・オブ: 28 分)
- 《ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック》
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エサ=ペッカ・サロネン指揮/ロサンゼルス・フィルハーモニック
Nonesuch 7559-79636-2
- オラトリオ《エル・ニーニョ》
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ケント・ナガノ指揮/ドーン・アップショウ/ベルリン・ドイツ交響楽団 他
Nonesuch AD 79634
- 作品集「The John Adams Earbox」
- Nonesuch 79453(10枚組)
- オペラ《中国のニクソン》
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エド・デ・ワールト/セント・ルークス管 他
Nonesuch 9 79177-2 (3枚組)
- 《和声学(ハルモニーレーレ)》/《Chairman Dances》他 全4曲
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サイモン・ラトル指揮/バーミンガム市響
EMI CDC 5 55051 2
- 《室内交響曲》/《シェーカー・ループス》 他全3曲
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シアン・エドワーズ指揮/アンサンブル・モデルン
BMG 09026 68674 2
関連リンク
- John Adams Official Web Site
(ジョン・アダムズ オフィシャルサイト)
http://www.earbox.com/ - Boosey & Hawkes
(出版社ブージー&ホークスのサイト)
http://www.boosey.com/composer/John+Adams
関連情報
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■「エル・ニーニョ」とアダムズのドキュメンタリーがNHK-BSにて放送
放送日時:2003年7月18日[金]深夜12:00(=7月19日[土]午前0:00)
番組名:クラシック・ロイヤルシート(NHK-BS2)- オラトリオ《エル・ニーニョ》(指揮:ケント・ナガノ 他)
- ドキュメンタリー「ジョン・アダムズ《エル・ニーニョ》を語る」
なお、放送日時は予告なく変更される場合があります。
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■アダムズ「ピューリッツァ賞」受賞
ジョン・アダムズ作曲《On the Transmigration of Souls》が、2003年のピューリッツァ賞を受賞しました。
この曲は、2001年9月11日の同時多発テロの犠牲者を追悼する作品として作曲され、2002年9月19日にニューヨーク・フィルによって初演されました。 -
■ウォルト・ディズニー・コンサートホールのオープニングで新作初演
2003年10月24日、ロサンゼルス・フィルの新しい本拠地「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」のオープニング・ガラ・コンサートで、ジョン・アダムズの新作《The Dharma at Big Sur》が、エサ=ペッカ・サロネン指揮ロサンゼルス・フィルにより世界初演される。この作品では、トレーシー・シルヴァーマンがエレクトリック・ヴァイオリンのソロをつとめる。
~Living LA : ウォルト・ディズニー・コンサートホール開館記念ガラ
2003年10月24日 19:00
エサ=ペッカ・サロネン(指揮)、ヨーヨー・マ(チェロ)、ロサンゼルス・フィルハーモニック- サロネン/LA ヴァリエーションズ
- ルトスワフスキ/チェロ協奏曲
- アダムズ/The Dharma at Big Sur[世界初演]
- レヴエルタス/センセマヤ
●同ホールの開館記念コンサートはこのほかにもたくさんあります。
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■2003年春、ニューヨークでアダムズ・フェスティバル開催
2003年春、リンカーン・センターにおいて、「An American Master: The Music of John Adams」と題された、ジョン・アダムズの包括的なフェスティバルが開催される。演奏会だけでなく、フィルム、シンポジウム、さらにニューヨーク・シティ・バレエによる《Guide to Strange Places》(振付:ピーター・マーティンス)の初演も予定されている。
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■新作オーケストラ曲がティルソン・トーマス/サンフランシスコ響により初演
新作オーケストラ曲《私の父はチャールズ・アイヴズを知っていた》が、マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団により世界初演予定(2003年4月30日、5月1日、5月2日 計4回公演/サンフランシスコ)。
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■サンフランシスコ・オペラ、アダムズに新作オペラを委嘱
サンフランシスコ・クロニクル紙によると、サンフランシスコ・オペラ(総監督:パメラ・ローゼンバーグ)は、ジョン・アダムズに新しいオペラを委嘱、2005/06シーズンに初演すると発表した。
新作は、『Doctor Atomic』というタイトルで、ロバート・オッペンハイマーと原爆開発の物語によるもの。『中国のニクソン』『クリングホファーの死』に続いて、アリス・グッドマン(台本)、ピーター・セラーズ(演出)との共同作業となる。オッペンハイマーは、ロス・アラモス研究所の所長としてマンハッタン計画を指揮したものの、戦後は水爆の開発に反対し核軍縮を訴えた科学者。1950年代に共産主義へ傾倒したとして告発され、政府は彼の身分を剥奪、すべての役職を解任した。(2002年12月)
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■バービカンセンターでアダムズ特集演奏会
2002年1月18日[金]─ 20日[日]、ロンドンのバービカンセンターにおいて、「John's earbox─The music of John Adams」と題されたジョン・アダムズ特集演奏会が催される。
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