細川俊夫 [作曲家・2012年度武満徹作曲賞審査員]
Toshio Hosokawa, composer/judge of Toru Takemitsu Composition Award 2012
© Kaz Ishikawa
1955年広島生まれ。1976年から10年間ドイツ留学。ベルリン芸術大学でユン・イサンに、フライブルク音楽大学でクラウス・フーバーに作曲を師事。1980年、ダルムシュタット国際現代音楽夏期講習に初めて参加、作品を発表する。以降、ヨーロッパと日本を中心に、作曲活動を展開。日本を代表する作曲家として、欧米の主要なオーケストラ、音楽祭、オペラ劇場等から次々と委嘱を受け、国際的に高い評価を得ている。2004年のエクサンプロヴァンス音楽祭の委嘱による2作目のオペラ《班女》(演出=アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル)、2005年のザルツブルク音楽祭委嘱のオーケストラ作品《循環する海》(ウィーン・フィル)、第5回ロシュ・コミッション(2008年)受賞による委嘱作品(ルツェルン音楽祭、カーネギーホール等の共同委嘱)である2010年世界初演のオーケストラのための《夢を織る》(クリーヴランド管弦楽団)、2011年のモネ劇場の委嘱によるオペラ《松風》(演出=サシャ・ヴァルツ)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とバービカン・センター他の共同委嘱による《ホルン協奏曲 —開花の時—》といった作品は、大野和士、ヴァレリー・ゲルギエフ、フランツ・ウェルザー=メスト、サイモン・ラトルなど、世界一流の指揮者たちによって初演され、その多くはすでにそれぞれのジャンルにおけるレパートリーとして演奏され続けている。2001年にドイツ・ベルリンの芸術アカデミー会員に選ばれる。東京交響楽団1998-2007、ベルリン・ドイツ交響楽団2006/2007シーズン、および西ドイツ放送局合唱団2006–2008シーズンのコンポーザー・イン・レジデンスを歴任。2006/2007年および2008/2009年、ベルリン高等研究所からフェロー(特別研究員)として招待され、ベルリンに滞在した。現在、武生国際音楽祭音楽アドヴァイザー、東京音楽大学およびエリザベト音楽大学客員教授。
準・メルクル(指揮) Jun Märkl, conductor
5/24「細川俊夫の音楽」
© MDR Axel Bergea
1959年ミュンヘン生まれ。ハノーファー音楽院でヴァイオリン、ピアノ、指揮を学んだ後、セルジュ・チェリビダッケのもとで研鑽を積む。1986年にドイツ音楽評議会の指揮者コンクールで優勝。その後タングルウッド音楽祭でレナード・バーンスタイン、小澤征爾に学んだ。1991〜1994年ザールラント州立劇場音楽監督、1994〜2000年マンハイム州立劇場音楽監督および芸術監督を歴任。ウィーン国立歌劇場、コヴェントガーデン王立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、ドレスデン州立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、バイエルン州立歌劇場等にたびたび客演している。また、北ドイツ放送響、ミュンヘン・フィル、パリ管、ボストン響、シカゴ響、フィラデルフィア管、モントリオール響など世界各地の著名オーケストラを指揮しており、日本には1997年にNHK響を指揮してデビュー、特に新国立劇場でのワーグナー「ニーベルングの指環」チクルス(2001〜2004年)で圧倒的な成功を収めた。2006年、細川俊夫の《月夜の蓮-モーツァルトへのオマージュ-》世界初演を指揮(ピアノ:児玉桃/北ドイツ放送交響楽団)。2005年〜2011年までフランス国立リヨン管弦楽団の音楽監督、2007年よりライプツィヒ放送交響楽団(MDR交響楽団)の首席指揮者・芸術監督を務める。
十束尚宏(指揮) Naohiro Totsuka, conductor
5/27「2012年度武満徹作曲賞本選演奏会」
© E.Miyoshi
東京出身。桐朋学園大学指揮科及び研究科修了。故森正、小澤征爾、秋山和慶、尾高忠明各氏に師事。1982年「第17回民音指揮者コンクール」優勝。翌年タングルウッド音楽祭に招かれ、クーセヴィツキー指揮大賞を受賞。
1984年ボストン交響楽団に副指揮者として招かれ、同年ベルリンに留学、その間も再びタングルウッド音楽祭に招かれ故バーンスタイン、プレヴィン、スラットキン各氏に師事。1989年NHK交響楽団定期演奏会を指揮以降国内オーケストラとの共演を重ね、海外ではストックホルム・フィル、ブリュッセル・モネ劇場管弦楽団、フランス国立モンペリエ管弦楽団、コーミッシェ・オパー・ベルリンなどに客演。88年から92年まで群馬交響楽団正指揮者、92年から97年東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団常任指揮者、94年から98年広島交響楽団音楽監督を務める。2002年よりウィーン国立歌劇場にて研鑽を積む。近年は兵庫芸術文化センター管弦楽団、シエナ・ウインド・オーケストラ等にも客演。その精緻な指揮と濃密な音楽作りで、今後の国内外での活躍が益々期待されている。
宮田まゆみ(笙) Mayumi Miyata, sho
5/24「細川俊夫の音楽」
国立音楽大学ピアノ科卒業後、雅楽を学ぶ。東洋の伝統楽器「笙」を国際的に広めた第一人者。古典雅楽はもとより、武満徹、ジョン・ケージ、細川俊夫など現代作品の初演も数多く、小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラ、デュトワ指揮NHK交響楽団、プレヴィン指揮ニューヨーク・フィル、アシュケナージ指揮チェコ・フィル、大野和士指揮ベルギー王立歌劇場管、メルクル指揮リヨン国立管、ノット指揮バンベルク響、BBC響、WRDケルン放送響ほか国内外のトップオーケストラと数多く共演。加えて、ザルツブルク、ウィーン・モデルン、ルツェルン、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、パリの秋、アヴィニヨン、ダルムシュタット、ドナウエッシンゲン、タングルウッドをはじめとする各国の音楽祭への参加、ウィーン、パリ、アムステルダム、ミラノ、ニューヨークなどでのリサイタルと幅広く活躍している。国立音楽大学客員教授。
半田美和子(ソプラノ) Miwako Handa, soprano
5/24「細川俊夫の音楽」
叙情性溢れる声と透明感ある精緻な音楽性を兼ね備えたソプラノ。桐朋学園大学および同大学研究科修了。第4回藤沢オペラコンクール第1位受賞以来、引く手数多の逸材。二期会や新国立劇場など常に大舞台で活躍している。コンサートでもベルティーニやインバルと東京都交響楽団「千人の交響曲」で共演のほか、NHK交響楽団定期演奏会に出演、読売日響とはベルクの難曲「『ルル』組曲」等で好評を博した。「題名のない音楽会」や「NHKニューイヤーオペラコンサート」などメディアのほか、落語とのコラボや劇団☆新感線との音楽制作への参加など活躍ぶりは多彩。さらに新作初演や日本初演作品の演奏にも積極的に取り組んでいる。09年には細川俊夫作曲『班女 hanjo』(三島由紀夫「近代能楽集」『班女』ドナルド・キーン英語訳を基にしたニュープロダクション)日本初演に花子役で出演、東京3公演を成功に導き、トリノとミラノでも多くの称賛を得た。二期会会員
藤村実穂子(メゾソプラノ) Mihoko Fujimura, mezzo soprano
5/24「細川俊夫の音楽」
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業、同大学院修了、ミュンヘン音楽大学大学院修了。2002年主役級としては日本人として初めてバイロイト音楽祭にデビュー、以来9年連続出演。ミラノスカラ座、ウィーン国立歌劇場、ロイヤルオペラハウス・コヴェントガーデン・ロンドン、ミュンヘン国立歌劇場、パリ・シャトレー劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ドレスデン国立歌劇場、フィレンツェ歌劇場、ヴェローナ歌劇場、またウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団、ワシントン・ナショナル交響楽団、ルツェルン祝祭管弦楽団などへ出演。クリスティアン・ティーレマン、クラウディオ・アバド、ズービン・メータ、クリストフ・エッシェンバッハ、マリス・ヤンソンスら著名指揮者と共演。出光音楽賞、第54回芸術選奨新人賞、エクソンモービル音楽賞の各賞を受賞。
東京音楽大学合唱団 Tokyo College of Music, Chorus
5/24「細川俊夫の音楽」
東京音楽大学合唱団は、N響をはじめ日本フィルなど国内外のオーケストラと数多く共演している。2010年は日本フィル東京定期(アレクサンドル・ラザレフ指揮:モーツァルト/大ミサ曲)、名曲コンサート(小林研一郎指揮:ヴェルディ/レクイエム)、N響定期(マルクス・シュテンツ指揮:マーラー/交響曲第2番「復活」)、日本フィル『第九』特別演奏会に出演、2011年には日本フィルさいたま・横浜定期(広上淳一指揮:ホルスト/組曲惑星)に出演し、どの公演も大好評を博した。合唱指導は、篠崎義昭、阿部純、多田康芳、山本義人の各氏。
NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo
5/24「細川俊夫の音楽」
N響が擁する指揮者陣は、名誉音楽監督シャルル・デュトワ、桂冠指揮者ウラディーミル・アシュケナージ、桂冠名誉指揮者ウォルフガング・サヴァリッシュ、名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテット、正指揮者 外山雄三、尾高忠明、首席客演指揮者アンドレ・プレヴィン。年間54回の定期公演をはじめ、全国各地で約120回の演奏活動を行っている。また1960年以来の定期的な外国公演など、その活動と演奏は国際的にも高い評価を得ている。
東京フィルハーモニー交響楽団 Tokyo Philharmonic Orchestra
5/27「2012年度武満徹作曲賞本選演奏会」
1911年創立。2011年、日本のオーケストラとして最初の100周年を迎える。2010年よりダン・エッティンガーが常任指揮者に就任。名誉桂冠指揮者にチョン・ミョンフン、桂冠指揮者に尾高忠明、大野和士、専任指揮者に大町陽一郎、指揮者に渡邊一正。
定期演奏会を中心とする自主公演、新国立劇場では年間ほぼ4分の3のオペラ・バレエ演奏、NHKの放送演奏、教育プログラムなどの国内活動をはじめ、海外公演でも高い評価を得ている。芸術祭大賞、同優秀賞、音楽之友社賞ほかを受賞している。