日本の音楽は、19世紀後半に西洋近代の文化と接触することによって、新たなスタートを切りました。黒船の軍楽の響きは鎖国時代の終わりを知らせ、アメリカ人宣教師たちが教える英語や讃美歌は、新しい時代の到来を告げました。明治維新政府は教育制度に西洋音楽を積極的に導入し、近代国家にふさわしい音楽の構築を試みます。以来150年、日本の近代音楽は、ときに国内外の政治情勢に翻弄されながらも、芸術文化の諸領域と連動し、今日の音楽文化の隆盛を築いてきました。 本展は、時代とともに歩んできた日本近代音楽の激動の150年をたどるものです。明治学院大学日本近代音楽館の所蔵資料を中心に、全国の資料館、美術館および個人蔵の貴重な資料も加えて、開国以来の音楽を中心とした文化史を立体的かつダイナミックに再構成します。
●明治学院大学図書館付属日本近代音楽館
2011年5月26日開館。前年7月、日本近代音楽財団日本近代館(1987年開館)が収集・保管・公開してきた50万点にのぼる日本の近現代の音楽資料が明治学院大学図書館に寄贈され、約1年の準備期間を経て一般公開に至る。日本の近代・現代音楽を対象とする専門資料館として、明治以降の日本の洋楽に関する資(史)料を収集、保存し、公開する。所蔵資料は、山田耕筰、橋本國彦、芥川也寸志、武満徹をはじめとする作曲家の自筆譜や初版譜、安川加壽子、岩城宏之等演奏家の活動記録、研究・評論家の原稿、蔵書などに加え、音楽書、雑誌、録音資料や国内演奏会のプログラム等、きわめて貴重な文化遺産となっている。