展覧会の見どころ
Highlights
石川真生は、1953年、沖縄県大宜味村(おおぎみそん)に生まれました。1970年代から写真をはじめ、1974年、WORKSHOP写真学校東松照明教室で写真を学びます。沖縄を拠点に制作活動を続け、沖縄をめぐる人物を中心に、人々に密着した作品を制作している写真家です。被写体となる人々に耳を傾け、立場を越えて取材することで引きだされるリアルな人間像は、沖縄の現実を生々しい切り口で暴き出しています。
1970年代、石川は、沖縄在米兵の黒人のためのバーに勤めながら同僚たちの女性とその奔放な生活を撮影した〈赤花 アカバナー 沖縄の女〉、そのときに出会った黒人兵の故郷を訪ねる〈Life in Philly〉など、その時々の人間との出会いをきっかけに、立場を越えて写真を撮り続けるスタイルは、早くから確立されていました。
沖縄を拠点に、旧日本軍、自衛隊、米軍に関わりのある人物や出来事を取材し、国内外を問わず精力的な撮影を行いますが、共通しているのは、あくまでも個々人の人間性を見つめ、被写体に接近する石川の独自のまなざしです。
近年では、〈日の丸を視る目〉を契機とした、〈森花―夢の世界〉〈大琉球写真絵巻〉など、創作写真ともいわれる作品を発表し、被写体との信頼関係を基盤にした作品作りは変わらず、いまもなお新たな制作に向けて取材を続けています。
本展は、1970年代の初期に発表していたプリントにはじまり、現在に至るまでの写真家活動を振り返ります。それぞれのシリーズから作品を選択し、とりわけ近年最も注力を注いでいる〈大琉球写真絵巻〉の近作、最新作を含め総数約170点もの作品を展示し、作家が築き上げてきた沖縄に対する独自のまなざしを紹介します。