3.油彩、水彩、コラージュ、書など
池田は既成団体の審査に疑問を感じて、グループ「実在者」や「デモクラート美術家協会」などの前衛グループに参加します。こうして版画制作と並行して、シュルレアリスムや抽象表現主義など、さまざまな前衛的スタイルによる油彩画を制作していきます。
アクリル絵具による《にんぎょうA》(1996年)は、澁澤龍彦展のために描かれたもので、亡くなる前に完成された最後の絵画作品です。
水彩画《美しさと哀しみと》(1965年)は、川端康成の原作を映画化した篠田正浩監督「美しさと哀しみと」の撮影のために制作されました。八千草薫が演じる女流画家が絵を描くシーンで使われたもので、「地獄と怪物の画家」といわれるオランダのヒエロニムス・ボッシュの絵のように、と篠田監督から依頼されました。映画以外では今回が初公開となる幻の作品です。打ち掛けをもちいた《天女夢幻》(1990年)は、縦2m60cm、横1m82cmの3点組の巨大なコラージュ作品で、その迫力には圧倒されるものがあります。若い頃から達筆で晩年には数多く手がけた書など、池田満寿夫の知られざる造形表現を紹介します。
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《宗達讃歌(天)》
リトグラフ、紙(4曲1隻屏風) 1985年 |
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