
◎コンポージアム2000 2000.5.21[日]〜5.28[日]
コンポージアムは、現代音楽の楽しさを優れた演奏で体験できる、東京オペラシティの同時代音楽フェスティバルです。日蘭交流400年にあたる2000年、コンポージアム2000では、オランダを代表する作曲家で、1999年12月にもピーター・グリーナウェイと組んだ新作オペラ《フェルメールへの手紙》を発表したばかりのルイ・アンドリーセンを「武満徹作曲賞」審査員に迎え、あわせて彼のヴィヴィッドな創造の世界をご紹介します。また、アルディッティ弦楽四重奏団による、全14曲、前人未踏の「20世紀マラソン」や、オルガンの女王ジェニファー・ベイトのコンサートなど、名人芸も満開。今年も注目です!
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2000.5.21[日] 15:00
リサイタルホール

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フィルム&トーク
出演:ルイ・アンドリーセン、白石美雪

上映作品: |
「海との一時的な合意」 |
“A Temporary Arrangement with the Sea” |

1993年にBBCで放映された『海との一時的な合意』は、イギリスの若い作曲家スティーヴ・マートランドを案内役に、アムステルダムの街の様子などを織り込みつつ巧みに構成された、アンドリーセンの創作活動のドキュメンタリーです。最新作《フェルメールへの手紙》の初演を観た白石美雪とのホットなトークとあわせて、アンドリーセンの豊かな創造世界を紹介します。
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2000.5.22[月] 19:00
リサイタルホール

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スモールアンサンブル作品展
「8曲で辿るアンドリーセンの30年」
リコーダー:鈴木俊哉
ギター:佐藤紀雄
ピアノ:野平一郎
ヴァイオリン:野口千代光
マリンバ:二ッ木千由紀
テナーサックス:平野公崇

・アンドリーセン/ |
トリプルム(ギターソロ) |
スウィート(リコーダーソロ) |
メロディ(リコーダー&ピアノ) |
ディスコ(ヴァイオリン&ピアノ) |
エンデ(リコーダー&テープ) |
戦慄(ピアノ) |
木(テナーサックス、マリンバ、ギター、ピアノ) |
モローのためのイメージ(ピアノ) |

オランダには400年前の「昔」と、まさしく「今」の音楽がなかよく同居しています。この演奏会では、古楽の世界的権威ブリュッヘンに捧げられた1964年作《スウィート》から、若いピアニストのために1999年に作曲した《モローのためにイメージ》まで、アンドリーセンのワイルド?ジェントル?な音楽の半生をスモールアンサンブル作品を通して楽しんでいただきます。

[オン・エアー情報]
6.26[月] 8:05〜9:00 NHK-BS2「クラシック倶楽部」
7.9[日] 18:00〜18:50 NHK FM「現代の音楽」
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2000.5.23[火] 19:00
コンサートホール

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ラージアンサンブル作品展
「動と静−アンドリーセンの2つの貌(かお)」
指揮:沼尻竜典
東京交響楽団
東京混声合唱団(女声)
アルモ・サクソフォン・クヮルテット
ピアノ:中川賢一、稲垣 聡、黒田亜樹
シンセサイザー:大竹久美
ギター:佐藤紀雄、黄 敬、佐藤洋嗣
ツィンバロン:崎村潤子 他


今回の来日にあたり、アンドリーセン自身が上演を希望した、巨大な静寂とも言うべき《時間》と、ラップも飛び出すダイナミックなノリが心地よい《デ・スティル》という、対照的な性格の2作品をプログラム。東京交響楽団に多くのゲストミュージシャンを加えた大アンサンブルが、沼尻竜典とともに、アンドリーセンの活き活きとした音楽世界を描き出します。

[沼尻竜典]
桐朋学園大学卒業。1990年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。91年第1回出光音楽賞受賞。93〜98年新星日本交響楽団正指揮者。95年自らトウキョウ・モーツァルト・プレイヤーズを結成。99年より東京フィルハーモニー交響楽団正指揮者。国内外において、ピアノ、作曲の才能も生かした多才な活動を展開。現代作品への造詣も深く、サントリー音楽財団サマーフェスティバル『音楽の現在』やN響『ミュージック・トゥモロー』、東京オペラシティ『コンポージアム1997』などで、リゲティ、ルトスワフスキ、ベリオ、デュティユー、武満徹ら多くの現代作曲家の作品を手がけ、その優れた解釈と表現力は、作曲者からも絶賛されている。

[オン・エアー情報]
7.16[日] 18:00〜18:50 NHK FM「現代の音楽」
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2000.5.24[水] 18:00
コンサートホール

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現代弦楽四重奏マスタークラス
指導:アルディッティ弦楽四重奏団
[受講生]
グループ1 柴田 壮(vn)、木村喜代美(vn)、長岡聡季(va)、西山健一 (vc)
グループ2 大鹿由紀(vn)、甲斐史子(vn)、木佐貫美保(va)、矢野智久 (vc)

・アンドリーセン/《死に向かって》
・クルターク/弦楽四重奏曲第2番 《セルヴァンスキー追悼の短いオフィチウム》

20世紀の弦楽四重奏の達人アルディッティ弦楽四重奏団による公開マスタークラス。ホールオープン以来3回目。コーチ対象の作品はアンドリーセン、クルタークともアルディッティ弦楽四重奏団がマラソンで演奏する20世紀を代表する作品。グループ1の4人は芸大在学中。グループ2の4人は桐朋卒業生です。

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2000.5.25[木] 19:00
リサイタルホール

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ジェニファー・ベイト オルガンリサイタル
「オルガン・クイーン ベイトと行く ヨーロッパ400年の旅」

・スウェーリンク/緑の菩提樹の下で
・J.S.バッハ/トッカータ、アダージョとフーガ BWV564
・アルベルト・デ・クレルク/パストラーレ
・ヘンドリク・アンドリーセン/教会ソナタ
・メシアン/《栄光の御身〜復活の7つの幻影》より 栄光の御身の喜びと明るさ
・メシアン/《オルガンの書》より 鳥たちの歌
・フロール・ペーテルス/サルヴェ・レジナによるパラフレーズ
・ベイト:1685年へのオマージュ
[アンコール]
・J.S.バッハ〜H.A.ベイト/無伴奏チェロ組曲第3番BWV1009より ブーレ
・ヴィドール/オルガン交響曲第5番より トッカータ

イギリスの女流オルガニスト、ジェニファー・ベイトは、マリー=クレール・アランと並び称され、ケント・ナガノも絶賛する世界的な名手。彼女の広いレパートリーを活かし、オランダの古典から自作まで、文字通りヨーロッパ400年にわたるオルガン作品を聴く一夜です。特に、作曲者から絶大な信頼を置かれていたというメシアン作品は必聴です。

[ジェニファー・ベイト]
イギリスの名オルガニスト。プリストル大学卒業後、オルガニストとして精力的な活動を始める。BBCプロムス、英国国際フェスティバルをはじめ、世界中で活躍するかたわら、母校のマスタークラスで教鞭を執り、またヨーロッパの主要なオルガンコンクールの審査員もつとめている。40曲以上のオルガン協奏曲、600曲以上の独奏曲という幅広いレパートリーを持ち、中でもフランス現代音楽の巨匠、オリヴィエ・メシアンのオルガン曲の解釈では、メシアン自身から絶賛されるなど、高い評価を得ている。自ら作曲もし、またニューグローブ音楽事典執筆者のひとりでもある。1972年ロンドン・ロイヤル・オルガニスト・カレッジよりJ.F.リード賞を受賞。

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2000.5.26[金] 18:00
コンサートホール

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ファイナリスト自作を語る
出演:ヴィットーリオ・ザーゴ、植田彰、カルロ・フォルリヴェジ、ジョー・カトラー、長生淳 (順不同)

5/28に行われる「武満徹作曲賞本選演奏会」に先立って、選ばれたファイナリストたちが自らの作品について語るとともに、下記の室内楽作品の演奏も行われます。
・ヴィットーリオ・ザーゴ/Lamento(ヴィオラ独奏)
・植田彰/Agitation(ピアノ+ヴァイオリン+チェロ)
・カルロ・フォルリヴェジ/La pointe a droite du coeur(ピアノ独奏)
・ジョー・カトラー/On the Edge(ピアノ独奏)
・長生淳/クラリネット・トリオ(クラリネット+チェロ+ピアノ)
[演奏]
クラリネット:菊池秀夫
ヴァイオリン:甲斐史子
ヴィオラ:川本嘉子
チェロ:古川展生
ピアノ:中川賢一、稲垣聡

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2000.5.27[土] 13:00
コンサートホール

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アルディッティ弦楽四重奏団の20世紀マラソン

I 13:00〜14:00
・ストラヴィンスキー/弦楽四重奏のための3つの小品
・ウェーベルン/弦楽四重奏のための5つの楽章
・ファーニホウ/弦楽四重奏曲第3番
・ベルク/弦楽四重奏曲 作品3
II 15:00〜16:00
・バルトーク/弦楽四重奏曲第3番
・リゲティ/弦楽四重奏曲第2番
・クルターク/弦楽四重奏曲第2番《セルヴァンスキー追悼の短いオフィチウム》
・クセナキス/テトラス
III 17:00〜18:00
・ヤナーチェク/弦楽四重奏曲第1番《クロイツェル・ソナタ》
・リーム/弦楽四重奏曲第10番
・アンドリーセン/《死に向かって》
IV 19:00〜20:00
・シュニトケ/弦楽四重奏曲第2番
・細川俊夫/沈黙の花
・西村朗/弦楽四重奏曲第2番《光の波》

20世紀の作品を演奏し続け25年余り。カラヤン、バーンスタイン等が受賞した大きな賞シーメンス音楽賞を99年に受賞。99年グラモフォン賞もゲット。作曲家とともに作品を作り上げていくその徹底ぶりが評価されています。数百のレパートリーからアルディッティ弦楽四重奏団が選ぶベスト14。ぜひこの20世紀マラソンに参加し、彼らと完走を目指そう!!

[アルディッティ弦楽四重奏団]
1974年にアーヴィン・アルディッティによって結成。現代音楽と20世紀初頭の作品における卓越した解釈で、世界的な名声を獲得している。1年間の間に50曲を世界初演。ケージ、カーター、デ・パブロ、ドナトーニ、フェルドマン等々の作品を初演する。82年以来ダルムシュタット国際現代音楽夏期講習で、演奏家と作曲家のためのマスタークラスを行う。すでに30枚以上のCDが発表されている。91年NYで「グラマビジョン」がグラミー賞にノミネート。ディスク・モンターニュ社から発売されているシリーズに対して、92年国際批評家賞、ロイヤル・フィルハーモニック・ソサエティからは、室内楽アンサンブル部門賞が贈られた。99年シーメンス音楽賞を受賞。
→アルディッティ弦楽四重奏団オフィシャルサイト(英語)

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2000.5.28[日] 17:00
コンサートホール
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2000年度武満徹作曲賞本選演奏会
審査員:ルイ・アンドリーセン
指揮:沼尻竜典 東京都交響楽団

・ヴィットーリオ・ザーゴ(イタリア):ECHO(エコー)
・植田彰(日本):Pulsating(パルセイティング)
・カルロ・フォルリヴェジ(イタリア):MUTTER MORTE(ムッター・モルテ)
・ジョー・カトラー(イギリス):AWAKENINGS(目覚め)
・長生淳(日本):夏─朱い忘却

2000年度の「武満徹作曲賞」には、過去最高となる27カ国108作品の応募がありました。審査員であるオランダを代表する作曲家ルイ・アンドリーセン氏は、1999年12月の譜面審査によって5作品を選び、その中から2000年5月28日の本選演奏会下記の受賞者を決定しました。
第1位 長生 淳(日本):夏−朱い忘却(賞金150万)
第2位 ジョー・カトラー(イギリス):目覚め(賞金100万)
第3位 植田 彰(日本):パルセイティング(賞金50万)
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左より、植田 彰、長生 淳、ルイ・アンドリーセン、ジョー・カトラーの各氏 |
【アンドリーセン総評】
若い作曲家たちにこうした機会を与えることは非常に重要な事です。このコンクールは、いわゆる通常のオーケストラ作品という制約がある中でのヴァラエティさ、可能性などを感じるものだと思います。今回、評価の基準として3つの点「作曲家として職人芸を披露できていたか」「どれだけ個性が溢れているか。作品のオリジナリティ」「作曲者がどれだけリスクを背負い、いかに冒険をしたか」を重視し、非常に難しかったのですが様々な観点から3つの作品を選びました。
【第1位、長生淳氏のプロフィール】
1964年3月1日生まれ。89年東京芸術大学大学院博士課程修了。84年第2回日仏現代音楽作曲コンクール特別賞受賞。85年第54回日本音楽コンクール作曲部門第2位入賞。87年現音第4回新人賞入選。88年第57回日本音楽コンクール作曲部門入選。
【受賞の言葉】
非常に良い演奏だったので、オーケストラも自分の音に共感してくれたと思う。演奏された音は聴衆の皆さんのところまで届いたと思うし、一つの目的は達成できたと感じている。聴衆の一人として自分の作品を聴くと、まだまだと思うところもあるので、これを励みにしたいと思います。

[オン・エアー情報]
7.23[日] 18:00〜18:50 NHK FM「現代の音楽」
7.30[日] 18:00〜18:50 NHK FM「現代の音楽」
→武満徹作曲賞のページ
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