「コンポージアム2009」について
- 「Composition」+「Symposium」=「COMPOSIUM(コンポージアム)」
- 世界中の若い世代の作曲家に管弦楽曲の創作を呼びかける「武満徹作曲賞」を核とした、東京オペラシティの同時代音楽フェスティバル「コンポージアム」。11回目となる2009年は、現代ドイツを代表する作曲家ヘルムート・ラッヘンマンを審査員に迎え、あわせて彼の音楽世界も紹介します。世界的な作曲家を迎え、優れた現代作品を優れた演奏で楽しめる「コンポージアム」にご期待ください。
- 音響の極北を旅する孤高の耳 ヘルムート・ラッヘンマン
- 自ら「楽器によるミュジック・コンクレート*」と呼んだラッヘンマンの語法は、ひとことで言えば従来の楽器からいかに新しい、独自のサウンド(時にはノイズのような音も)を引き出すかというものです。しかし、それは西洋音楽の歴史と伝統を深く理解しているからこその挑戦であり、その真摯な取り組みから生まれる深遠な音楽は、常に問題作とされながらも、決して自己満足に陥らない説得力を持っています。
- そうした極限的ともいえる音響を追求する彼の作品は、特殊奏法や高度な技巧を多用するため、演奏至難なことで知られています。楽譜には独特の記号があふれ、楽器のどの部分を弾く(叩く、吹く)かなどの奏法はもとより、要求されるサウンドのニュアンスに至るまで、きわめて細かい指示が書き込まれています。彼の作品演奏にはまずそれらの“解読”と特殊奏法の習得が不可欠であり、そのような彼の音楽を熟知している演奏家でなければ作品のユニークさや真価を伝えることができません。
- 今回の企画では、ラッヘンマンとの共同作業の経験があり、作品に強い共感を持つ演奏家たちの参加を得て、彼の代表作を上演します。見慣れた楽器やオーケストラがどのような奏法でどのようなサウンドを奏でるのか、ライヴでしか味わえない驚きや楽しさをお届けします。
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ミュジック・コンクレート(musique concrète):楽音ではない自然音などを録音技術により合成する電子音楽の一種