会場のコリドール部分は、私たちの生活する都市・東京の未来を、ポジティブに考えるための展示です。東日本大震災による圧倒的な破壊を前にして、私たちは20世紀に開発された効率化と大量生産が生んだ都市空間が必ずしも最良のものではないことに気付いています。市場経済の拡大と共に発展してきた都市に合わせ、人びとの生活スタイルも更新を余儀なくされましたが、人口の集中とは逆にコミュニティが衰弱し、整備され尽くした巨大インフラに依存する都市の脆弱さも露わになったといえるでしょう。
まずは都市の最も小さな単位である住宅に目を向けて、その潜在的な可能性を見出すためにさまざまな切り口で再確認した都市の姿を、データで示します。東京が「人間のための都市」に変容していくために、今なにが必要なのでしょうか。都市から生まれる人とのつながり、新しいコミュニティのかたちを考えます。
〈第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館 展示風景〉 2010
写真提供:国際交流基金
photo: Andrea Sarti/CAST1466