Photo:田原桂一
制作中の作品(彫刻/山本耀司、絵画/朝倉優佳)を写真家 田原桂一が撮影した一枚
YOHJI YAMAMOTO Spring/Summer 2016 Paris Collection
ヨウジヤマモト 2016年春夏パリコレクションより、朝倉優佳の絵画がプリントで施されたドレスルック
時代に流されない反骨精神で世界を刺激しつづけるトップデザイナー、山本耀司。山本は最近のコレクションで、絵画とのコラボレーションを積極的に展開しています。「画と機」と題された本展は、40年以上のキャリアを経て今なお斬新なクリエーションを展開する山本耀司の魅力と本質に迫ります。
「画と機」という展覧会名は山本の希望により、旧知の編集工学者である松岡正剛が考えたものです。「画」は絵画を、「機」は「はずみ」や「機会」「機織(服)」を意味します。この二文字は関係性を表し、絵画とファッション、二次元と三次元、男と女など、反発しながらも惹かれ合い、互いに逃れられないような、創造の根源に触れる危険な関係を暴き出します。また、つなげて「ガキ」という音のとおり、世間が子どもへ向ける目への反抗や抵抗としての表現とも捉えられます。誰もが子どもであった時期があり、誰もが子どもの頃の断片を持ち続けているはず ─ そんなメッセージとしても解釈できるでしょう。
朝倉優佳の絵画にもそうした自由奔放さが満ち溢れています。2016年春夏メンズ&ウィメンズコレクションから数シーズンにわたりヨウジヤマモトとコラボレーションピースを発表した朝倉は、大型の絵画作品をはじめとし、ときに山本の服に大胆なペイントを施し、また、壁画制作やライブ・ペインティングも積極的に展開しています。
本展のために山本耀司が制作した絵画や彫刻、さらには美術館の会場で制作した作品も展示されます。一見混沌としたなかに、相反する力が複雑に作用して、奇抜で革新性に富んだ空間が現出します。アーティストの創造の根底にあるものをそこに垣間見ることができるはずです。
服は展示されていますが、よくみかけるマネキンとは全く違う異形のボディが、思い思いの着方で並びます。ファッション展のイメージを持って来た方は、その期待をものの見事に裏切られることでしょう。