展示構成
Exhibitions

「色を想像する」Colours of the imagination(4階)

故寺田小太郎氏のプライベート・アイ・コレクションである当館収蔵品の成り立ちと、寺田氏が収集のテーマのひとつとしていた「ブラック&ホワイト」に呼応して、黒と白のみの世界を構成します。展示方法にも一工夫が。欧米の美術館では、個人の邸宅における伝統的な美術品の飾り方にならって、大きな壁面の上下左右びっしりと作品を並べる「サロン・スタイル」が採られていることがあります。ガンダーは、当館コレクションの特徴を踏まえたうえで作品をこの「サロン・スタイル」で展示しました。
「ブラック&ホワイト」をテーマとした収集は、寺田氏が幼年期に映画がモノクロからカラーに変わった時にがっかりしたという実経験にもとづいています。本展は、手段が豊かになったからといって表現が豊かになるとは限らない、モノクロの世界には「想像の余地」がある、という考えに共鳴したガンダーの応答といえる展示です。

李禹煥《風と共に》
1989
岩絵具, 油彩, キャンバス
photo: 斉藤新
吉永裕《U-123-94》
1994
顔料 和紙
photo: 早川宏一
白髪一雄《貫流》
1973
油彩、キャンバス
photo: 早川宏一

「ストーリーはいつも不完全……」All our stories are incomplete...(3階)

ここでは展覧会にはあたりまえにあるなにかが欠けています。それは「照明」です。来場者は入口で懐中電灯を取り、うす明かりの展示室内で作品を見るために自ら光を当てることになります。「あたりまえ」を「あたりまえ」と片付けず、そもそもを問い直すことは、ガンダーの制作姿勢の特徴のひとつです。来場者が「見る」という行為や意志を再確認するこの仕掛けは、通常の照明に照らされた展示では見逃してしまっていたものごとへの注目や、もっとよく見たいとあちこちを照らすことによって、ひとりひとりが作品と一対一の親密な関係を作る機会となるでしょう。その視点は、展覧会を出た後も続くはずです。

*3階は懐中電灯で照らしながら作品を鑑賞していただきます。

奥山民枝《シリーズ 迣:日尽》
1999
油彩, キャンバス
photo: 斉藤新
相笠昌義《水族館にて》
1976
油彩, キャンバス
photo: 斉藤新
赤塚祐二《Untitled 159810》
1998
油彩, キャンバス
photo: 斉藤新