展覧会
3.美術家との交感
武満徹ほど、美術作品、美術家にインスピレーションを得て作曲を行った音楽家はいないかも知れない。武満の楽曲に関わる美術家としては、オディロン・ルドン、ホワン・ミロ、パウル・クレー、マン・レイ、ポール・デルヴォー、イサム・ノグチ、サム・フランシスなどが挙げられる。たとえば、《閉じた眼》はルドンの作品名、《エキノクス》《虹へ向かって、パルマ》はミロの作品名、《すべては薄明のなかで》はクレーの作品名をそれぞれ曲名にしている。また、《鳥は星形の庭に降りる》について武満は、マン・レイの写真《剃髪》を夢に見たのが作曲のきっかけだったと述べている。
1974年イサム・ノグチが初めて日本で個展をひらいた際、武満はそのオープニングで笙と尺八による現代音楽の演奏会を企画したが、1988年のノグチが死去した際に追悼曲《巡り─イサム・ノグチの追憶に》(フルート独奏)を作曲している。
パウル・クレー
《大聖堂(東方風の)》
1937年
アサヒビール株式会社蔵
オディロン・ルドン
《眼を閉じて》
1890年
岐阜県美術館蔵
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